WordCamp Osaka 2018 に参加して、明日からも前向きに生きていけそうな感じがしてきました

6月2日(土)に大阪の関西大学梅田キャンパスで行われた、WordPressの大規模カンファレンス「WordCamp Osaka 2018」の1日目(セッションディ)に参加してきました。

今回はなんとセッションが5トラックも並行するという凄い構成。
面白そうなセッションが同じ時間に重なったり会場がいっぱいで入りきれなかったりと、興味があったのに聴けなかったセッションもたくさんありました。
なお、各セッションは録画されて後日 WordPress.tv にて動画が公開される予定ですので、楽しみです。

それでは、私が聴くことのできたセッションの感想などを書いていきたいと思います。
スライドは、一般公開されているもののみ引用させていただいています。

WordPress導入で変わったNPOのweb運用とその後

一昨年の「WordCamp Kansai 2016」で私は「熊本地震の支援サイトを30分で立ち上げ、独自ドメイン新規取得込みで即日運用開始した話」というセッションをさせていただいたのですが、私は一般市民の立場でしたので本職(?)のNPOの方は災害支援サイトをどうやって運用されているのかとても興味がありました。

スピーカーは、私と同学年ということで勝手にシンパシーを覚えている北角さんです。

NPOが運営しているという場合、「低コスト」というのが結構重要なポイントになります。
ちゃんとしたサイトを作ろうと思えばそれなりに手間もコストもかかるわけなのですが、そこにお金をかけると『ボランティアでやれ、そんなに制作費かけるなら支援に回せ』とか言われてしまいがちなんですよね。

そのあたりがわかるだけに、WordPressをうまく利用し、単に運用効率を上げるだけでなく、現場スタッフの意欲まで引き出しているところが素晴らしいなと思いました。

英語を見るだけでクラクラしていた私が、多言語サイトデザイナーになってしまった話

私のまわりでは最近、多言語サイトの案件がとても増えてきました。
私が参加したWordCampでは、ほぼ毎回多言語サイトに関するセッションがタイムテーブルに組み込まれていて、私は出来る限り聴かせていただくようにしています。

これまでは割とベテランの方のセッションが多かったのですが、今回のスピーカーの神野さんは、初心者の時期を過ぎてちょっと慣れてきたくらいのレベルの方なので、自分と感覚が近く、内容も自分の経験と重なるところが多くてうなづきながら聴いていました。

セッションでは、経験がないとつまづくポイントや、翻訳発注や原稿整理のポイント、デザインで留意すべきことなど、現場で役立つノウハウをたくさん紹介していただきました。

多言語サイトのターゲットは「言語」じゃなくて「国」にしなければいけないという話では、私が2か月ほど前に実際に制作した案件のことを思い出しました。
シンガポールをターゲットにした多言語サイトを制作したのですが、英語に切り替えるボタンにアメリカ国旗をつけてしまうというミスをしてしまったんです。
シンガポールはイギリス英語なので国旗はイギリス、ロケールも「en-US」ではなく「en-GB」なんですよね。(厳密には「en-SG」なのだと思いますが、シングリッシュというのもあるらしくて難しいところです)

また、ターゲットによっては古いブラウザやOSへの対応も考えなければならないとのことで、多言語とは単に翻訳の問題ではないということを表していると思います。

ところで最近、私の地元である京都府舞鶴市では、ここ数年でいくつかの公共施設や観光施設の多言語サイトが立ち上がっています。
しかし、「Google自動翻訳ボタン」をつけただけの「なんちゃって多言語サイト」で、固有名詞や地名に誤訳があっても放置されたまま。
問合せページからリクエストしても一向に直らないという情けない有様なのです。
特に地名の誤訳がひどく、アクセス案内ページは海外の方にとっては無いほうがいいくらいの酷さです。
市役所の方や制作会社の方々には、このセッションを聴いて自身の仕事を見直していただきたいと切に思いました。

プラグイン開発の理想と現実 (主に現実) 2018年度版

最近のWordCampでは毎回のようにセッションをしてくださっている、「Contact Form 7」作者の三好さん。
今回は、今、世界中を大混乱に巻き込んでいる「GDPR」についてのお話でした。

GDPRはEUで施行された個人データ保護に関する新しい規則なのですが、なぜ騒ぎになっているかというと、EU域内に拠点がなくてもEU域内にいる人に商品やサービスを提供したりモニタリングする場合は対象となるということと、違反した場合は巨額の制裁金(2000万ユーロ:現在のレートで25億円くらい?)が課されるという点がインパクトが強いからだと思います。

つまり日本国内のサイトであっても、越境ECはもちろん、普通のサイトの問い合わせフォームなんかも十分対象になる可能性があるわけで、自分のサイトでもいきなり「違反だから25億円払え!」って言われるんじゃないかとビビッてしまいますよね?

実際のところ、明らかにEUをターゲットにしていないのが明白なサイト(日本語のみで決済に日本円しか使えないなど)は対象にならないと思われますし、対象のサイトであればガイドラインに沿って対応していけば良いわけです。
WordPressでもすでにプラグインハンドブックに新しいセクションが追加されたり、ツールが提供されたりしています。

ただ今後は、初期設計から個人データの取り扱い方法に関しての考慮が必要になります。
ここでポイントになるのは「開発者も法律とかに関心持とうよ」ってことなんですよね。

セッションの中で三好さんが口酸っぱく言っておられたのは「人のいうことを鵜呑みにしないで、ちゃんと自分で関心を持って調べてください」ということでした。
三好さんは世界的なすごいプラグインの開発者ではあるけれど、法律に関しては専門家でも何でもないわけです。
実は懇親会で三好さんに『セッション、参考になりました!』ってご挨拶したら、『私のいうことを鵜呑みにしないでくださいね』って笑顔でくぎを刺されました(笑)

WordPressは欲しい情報がすぐに見つかるのが良いところだっていう人もいらっしゃいますが、実際のところ、ジャンルによっては間違ってる情報のほうが多いケースもあります。
同様にGDPRについても、いろいろな人、いろいろな立場から情報を集めて、自分で納得するのが大事だと思います。

Gutenbergで変わるWordPressエディタのカスタマイズ

WordPressの制作者の間で最近大きな話題になっているのが、Ver.5 で行われるといわれている投稿エディタの変更です。
従来のWYSIWYGエディターから一歩進めて、「段落」「見出し」「画像」「YouTube」などのブロックを積み上げてページを作成していくスタイルに変わります。
そのエディターの名前が「Gutenberg」です。

なぜ使い慣れたものから変更する必要があるのかというと、最近増えてきたWebページ作成ツール(Wix、STUDIOなど)の人気が高まっていることがあるのではないかと思います。

スピーカーは、WordBench京都のモデレーターとしてよくお世話になっている岡本秀高さん。
実はGutenbergのコアコントリビューターで、日本国内で最もGutenbergを知っていると思われる中の一人です。

このセッションを聴くまで私は、「Gutemberg」はconcrete5のページ編集みたいなものかと思っていたのですが、今回のセッションで話されたポイントはちょっと違っているようでした。

これまでの投稿エディタカスタマイズというと、PHPを使ってカスタムフィールドでカスタマイズするという流れでしたが、GutenbergはJavaScript(React)でカスタマイズしていきます。
この方法だと、JSベースなのでStep by Stepで入力支援ができたり、入力値によって表示を変えたり、オートコンプリートができるようになるんです。

またGutenbergでは表形式で入力させてリストで出力するというような、入力と出力を変えるようなこともできます。
それってカスタムフィールドでできるって思われるかもしれませんが、Gutenbergは出力データが「the_content」に入るから、テンプレートを作らなくてもいいんですね。

上手く作ると、入力しやすく学習コストが低く、しかもダイナミックで操作感がいいUIを作ることができそうです。

私はWordPressサイトを納品する際に、お客様の運用を容易にするために管理画面のカスタマイズを行っています。
エディターのボタンの変更やカスタムフィールドによる定型化なども行うのですが、それでも簡易的なマニュアルがどうしても必要になります。
それがGutenbergで解決できるのではないかという期待を持つことができました。

そして手始めに自分のサイトのエディタを「Gutenberg」に変えました
この記事は、初めてGutenbergで書いた記事になります。
・・・まだ、なかなか慣れないですね。

コードを書かずに簡単設定が嬉しい!WordPressのカスタマイザー機能を使ったテーマとプラグインでウェブサイト制作の効率化を図ろう

カスタマイザーとは、WordPress3.4から搭載された、ロゴ、ヘッダー画像、テキストや背景色、ウィジェットなどを管理画面上から実際の画面をプレビューしながらカスタマイズできる機能です。

前述のとおり、私はWordPressの納品時に管理画面のカスタマイズを行っています。
お客様が使いやすいようにというのもあるのですが、実際のところは勝手に操作されてサイトデザインを壊してほしくないという気持ちもあるのです。
そのためこれまでは、お客様に対してカスタマイザーを非表示にしてきました。

ところが、昨年末に手掛けた案件でお客様がとにかくあちこち触りたいと言われるので、デフォルトテーマの「Twenty Seventeen」の子テーマで制作しカスタマイザー機能もそのまま残すことにしました。
すると、カスタマイザーであちこち変更できることにお客様がとても感動されたんです。
変更箇所はテーマで適切にコントロールされているのでレイアウトが崩れることもありません。(多少おかしくなることはありますけれど)

ただ・・・質疑応答で質問させていただいたんですが、カスタマイザーに関する情報ってあんまり多くないんですよね。
頑張って探さないといけないのかなぁって思っていたら、なんとセッション後にミルコンさんが話しかけてきてくださって「ミルログ」にカスタマイザー関連の記事があることを教えてくださいました。
いやぁ、手を挙げてみるものですね。
スピーカーの今村さんもミルログは参考になるとおっしゃられていましたので、私もぜひ参考にしてカスタマイザーをモノにしたいと思います。

“カスタマイザー” の検索結果 – ミルログ

ライトニングトーク

全セッション終了後、セッションデー最後のお楽しみである「ライトニングトーク」がありました。

ライトニングトーク(以下LTと略します)とは5分間という制約された時間の中で行うプレゼンテーションのことなんですが、WordCampのような大きなイベントのLTは短時間で聞いている人の心をつかまなければならないので、爆発的なインパクトのある内容のものが多いんです。

さらに今回のWordCamp Osaka 2018実行委員長のGOUTENさんは、WordPressコミュニティでは全国的に名の知れた「LT芸人」(笑)です。
そんな中で多くの応募の中から選ばれてLTを担当された方々は、ビギナーからベテランまで、そして女子大生からいい歳のオジサン(失礼!)までバラエティに富んでいて、どれも楽しくて前向きでいい内容ばかりでした。

私も昨年の「WordCamp Kyoto 2017」で、懇親会LTというある意味戦場みたいなところ(笑)でLTを経験させていただいたのですが、大変でしたけど本当に楽しかったです。

WordBenchなどの小規模な勉強会でもLTは常に募集されています。
そういうところでは別にウケたり凄かったりする必要は全く無いので(笑)、未経験の方はぜひチャレンジしてみてください。

懇親会

セッションデーの本編終了後には、同じ会場で懇親会が行われました。
コミュニティのイベントは懇親会が本番とよく言われますが、私も本当にそう思います。

WordBench京都の知り合いを通じて他の地域のコミュニティのかたをご紹介いただいてお話しさせていただいたりしたのですが、懇親会LTでTシャツの話(笑)をされたWordCamp Tokyo 2018 の副委員長のアクツユミさんと名刺を交換させていただいたときに、『あ、いつもスライド見てます! よく参考にさせていただいてるんです』って言われ、とてもビックリすると同時に嬉しく思いました。

そして一番嬉しかったのは、4月のWordBench京都に参加されていた方が話しかけてきてくださったこと。
4月のWordBench京都で私は「ブラックハットSEO」の話をさせていただいたのですが、その方は後でこのブログを見に来て過去記事もいろいろ読んでくださったらしく、『とても役に立ったのでお礼を言おうと思って・・・』って言ってくださったんです。

・・・・なんかもう、メチャクチャ嬉しかったです。

SNSで「いいね」をもらったりコメントいただくのも、もちろんすごく嬉しいです。
でもやっぱり、面と向かって言われると・・・恥ずかしいけどものすごく嬉しかったです。

実は今回、プライベートでいろいろ悩みをかかえる中で参加しようかどうしようか迷いながら思い切って参加した今回のWordCampだったのですが、『こんな私でも、少しは人の役に立ってるんだなぁ』って実感できて、明日からも前向きに生きていけそうな感じがしてきました。

感謝の言葉は遠慮せずに伝えたほうがいいですね。
いい歳こいたオジサンが今頃何を言ってるんだという感じもしますが、今日いただいたこの嬉しい気持ちは、今度は私から他の人にも伝えていきたいと思います。

みなさん、本当にありがとうございました。
またどこかでお会いすると思いますので、その時はよろしくお願いいたします。

P.S.
あと、ちょっと幸せな話もお聞きしたりして、3月のWordBench京都でピンときた私の勘が当たっていたのかなぁ・・・って思ってほんわかした気持ちになったことは、秘密にしておきます。

この記事を書いた人

川井 昌彦
川井 昌彦
FAシステムメーカー、国内最大手印刷会社製版部、印刷・ウェブ制作会社を経て、家庭の事情で実家に帰省して独立
現在はフリーランスと制作会社シニアディレクターのマルチワーク
ウェブ制作のほぼ全般を見渡せるディレクター業務が主だが、デザイン・コーディングも好き

1997年ブログ開設
WordPressコミュニティには2011年から参加
WordCamp Kansai 2016 セッションスピーカー
WordCamp Tokyo 2023 パネルディスカッションパネラー
WordBench京都、WordBench神戸、WordPress Meetup八王子など登壇多数

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