フォントはしゃべるという話

タイミングを逃してブログに書きそびれていたのですが、2014年5月の「WordBench神戸」でお話をしたフォントの話をまとめておきたいと思います。

Web制作にCMSが使われるようになってきて、プログラマの方がWebサイトのデザインをされる機会も増えてきているのですが、その中で「フォントの選び方がよくわからない」という話をよく聞きます。
情報を伝えたいなら一番視認性の良いフォントを使えばいいわけで、なぜ何種類も使うのか意味がわからないというのです。
(かのビル・ゲイツが日本マイクロソフトの古川元社長に「コンピューターになぜ2つ以上のフォントが必要なんだ?」と言ったというのは有名な話です)

フォントを変えると何が起こるのか?

次の画面を見てください。
これは、地元のある葬儀会社のWebサイトのイメージ画像です。
(権利の問題があるので実際のものとは変えています)

20140831-1.jpg

夫が妻に話しかけているイメージが、「葬儀」と重なることで、特にご結婚されて長い方は、胸にグッとくるものがあるのではないかと思います。

ではここで、右の文字のフォントを変えてみましょう。

20140831-2.jpg

「あれ? あまり、胸にグッと来ないな・・・」と感じませんか?
シニア向けの旅行ガイドみたいな感じですね。
ちなみに最初のフォントは「ヒラギノ明朝」。 こちらのフォントは「ヒラギノ角ゴ」です。

さらにフォントを変えてみましょう。

20140831-3.jpg

「なんか、安っぽいな・・・」と思われる方もいらっしゃるかもしれません。
葬儀の厳かな雰囲気がなく、祭壇がプラスチック製なんじゃないか? とか、ちょっと不安になってきます。
使用フォントは「MSゴシック」です。
※MSゴシックをdisってるわけではありません。あくまで「このシチュエーションに合わない」と言っているだけです。

では次に、写真のほうを変えてみましょう。
フォントは、さきほどはあまり胸にグッと来なかった「ヒラギノ角ゴ」にして、写真を変えてみます。

20140831-4.jpg

何か、青春の1ページになってしまいました。
もう大人になってしまった方は昔を思い出して、先ほどとは違う意味で「胸にグッとくる」かもしれません。

では、右側のフォントを変えてみましょう。

20140831-5.jpg

あれ? ずいぶん感じが変わりましたね。
先ほどは、男の子が「見に来よう」って言ってたのに、今度は、女の子が「見に来よう」って言ってるように感じます。
使用フォントは「うずらフォント」です。

さらに変えてみましょう。

20140831-6.jpg

どうでしょう?
うちの柴犬がしゃべっているみたいに感じませんか?
まるで、声が聞こえてくるような、そんな感じがしないでしょうか?
使用フォントは「じゃんけん」です。

フォントはしゃべる

この記事のタイトルは、つまり、そういうことなんです。
みなさんには、もう、フォントの「声」が聞こえますよね?

デザイナーが、同じように見えるフォントの使い分けにこだわるのは、それぞれが違う声をしているからなんです。
ナレーターの声優を選んでいるのと同じなんです。

フォントの使い分けがわからないと思っていた方は、今度デザインをするときには、ぜひ、フォントの「声」に耳を傾けてみてくださいね。

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