Woo EC Fes JAPAN 2021 に参加しました

2021年11月19日(金)~20日(土)までオンラインで開催されたWooCommerceのカンファレンス「WooCommerce E-commerce Festival Japan 2021」に参加しました。

WooCommerceとは?

WooCommerceは、WordPressでネットショップが構築できるプラグインです。
日本ではまだ認知度が高くないようですが、世界で見るとShopifyと並んで最も利用されているECのプラットフォームです。

そんなに利用されているのにどうして日本ではあまり認知されていないのかというと、やはり日本語の情報が少ないからだと思います。

実は私、今年の夏以降立て続けにECサイト構築に携わっており、10月に2件のECサイトを公開し、今年中にあと2件公開する予定になっています。
これら4件のECサイトは、すべて WordPress + WooCommerce で構築したのですが、情報収集にとても苦労したのです。
そんな中、日本で行われる日本向けのWooCommerceカンファレンスということで、非常に期待して参加しました。

会場はセッションもワークショップもすべてoVice

カンファレンスが行われたのは、オンラインイベントではすっかりおなじみとなったoViceです。

oVice 「オヴィス」 – コミュニケーションを促進するバーチャル空間

https://ovice.in/ja/

これまで私が参加したオンラインイベントでは、セッションはYouTube、ワークショップはZoomで行われることが多かったと思います。
それがなんと、今回はセッションもワークショップもすべてoViceで行われました。
会場が3階建てになっていて、1階が交流スペース、2階が無料セッション・ワークショップスペース、3階が有料セッション・ワークショップスペースになっているのです。
各階は大きすぎず、背景画像もきちんと作られていてとても分かりやすかったです。

1日目は座談会を視聴

19日(金)は夜からのスタートで、交流スペースで座談会が行われました。

決済会社座談会は、PayPal、Paidy、Paygent の営業担当者の方による座談会。
9月に世界的な決済サービス大手のPayPalが、日本発の後払い決済Paidyを買収したことから、最近のユーザーの決済に対する考え方の変化などの話題が多かったように思います。

テーマ作者座談会は、Snow Monkey(キタジマタカシさん)、Arkhe(了さん)、Nishiki(今村哲也さん)という日本で最も注目されているテーマ作者が一堂に会するということもあって注目していましたが、実際にはあまりWooCommerceを意識してテーマを作成されているわけでは無く、逆にWooCommerceを意識したテーマ開発は結構可能性があるのではないかと思いました。

2日目はセッション・ワークショップに参加

20日(土)はセッション・ワークショップが行われました。

せっかくのチャンスということで、今回はワークショップに積極的に参加することにしました。
また、すでにいくつか実際にサイトを作っているので、初心者向けではなくなるべく詳しいことが学びたくて有料チケットを購入しました。

私が参加したのは下記のセッション・ワークショップです。

[ワークショップ]WooCommerceの送料を設定しよう

送料無料を設定した際に有料の選択肢を消す方法と、配送クラスを使って宅急便とメール便や商品ごとに送料無料を設定する方法を学びました。
カート画面で、なぜ送料無料設定をしても送料有料のオプションが消えないのか不思議だったのですが、海外では選択できるようにしておくのが一般的なんですね。

[ワークショップ]WooCommerceの商品を登録しよう(その1)

バーチャル商品の使いどころ、アップセルとクロスセルの見え方、関連商品はどういう仕組みで出るのか? などを教えていただきました。
参加者は私一人でしたので、通常の商品登録は軽く流して、使ったことが無い設定を中心に教えていただきました。
セール価格の表示期間は、終わりが0時なのか23時59分なのか、よく確認したほうが良いそうです。(今はどうなってるんだろう?)

[ワークショップ]WooCommerceの商品を登録しよう(その2)

先ほどの商品登録に続いて、その2ではバリエーション商品について教えていただきました。
こちらも参加者は私一人でしたので、CSVインポートによるバリエーション追加方法についてじっくり教えていただきました。

[セッション]機能拡張の利用例

WooCommerceの日本における第一人者で今回のカンファレンスの統括でもある田中昌平さんによる、有用なプラグインの紹介と、WooCommerce用のプラグインの探し方や使う上での注意点についてのセッションです。
WooCommerceには有用なプラグインが数多く存在していますが、ほとんど英語のドキュメントしかなく、日本語で紹介されている記事も多くありませんので、非常に参考になりました。

[ワークショップ]公式プラグインを使ってみよう

先のプラグイン紹介セッションのスピーカーをされた田中さんが、WooCommerce公式プラグインについて実際に管理画面から操作して解説をしていただくワークショップです。
有料プラグインをインストールしたWordPressを実際に操作して、どういうことが出来るのかだけでなく、使う際の勘所なども教えていただきました。
実際に操作することができたのは下記のプラグインです。

  • AutomateWoo
  • WooCommerce Bookings
  • WooCommerce Memberships
  • WooCommerce Order Status Manager
  • WooCommerce Points and Rewards
  • WooCommerce Subscriptions

[ワークショップ]WooCommerceに機能を追加しよう

プラグインではなく、コードによって機能を追加する方法について学ぶワークショップです。
参加者が少なかったので、先のワークショップでもお世話になった田中さんに、それぞれが教えてほしいことを直接教えてもらうという、非常に贅沢なワークショップでした。
実際にWooCommerceのコードを見ながら作業する様子を共有していただくのは、とても面白かったです。

ちなみに、私が参考になったのは下記のような内容でした。

  • 注文管理画面にカスタムフィールドを追加して、その内容をメールに表示させるにはどうしたらいいの?
    → Templates > emails にメールのテンプレートがある。カスタムフィールドは post meta で表示できる。
  • 商品にカスタムフィールドを追加した際、CSV書き出し時に出力するかどうかを選択可能にするにはどうしたらいいの?
    → カスタムフィールドを通常フィールドにするフックがあるので、それを使用する。(woocommerce_product_export)

質問大会~懇親会へ

さて、オンラインでもオフラインでも、実は一番重要なのが交流スペースでの会話です。

オンラインだと知らない人の輪に入るのって勇気がいるのですが、今回は参加したワークショップがほぼ貸切だったこともあり、実行委員の方に名前を憶えていただいて輪に入ったときにすぐに声を掛けていただけました。

oViceはZoomなどと違い、近くの人だけで話をすることができます。
Zoomだと全員に聞かれるだけでなくレコーディング機能があるのでうっかりしたことは話せませんが、oViceは近くの人だけでオフレコで話ができるので、サービスの中の人に突っ込んだ話を聞くこともできます。

まずは、Paidyの中の人にかなり突っ込んだ話を聞くことができました。

あと払いペイディ|翌月後払いのPaidy

https://paidy.com/

コンビニ払いは手数料がかかるにもかかわらず利用する人が非常に多いということ。
その一番の理由としては銀行口座登録のUIが悪いことがあるが、それ以外にコンビニ払いだと記録が残らないので記録に残したくないものを購入したいときに使われるんだそうです。
また、メールアドレスと電話番号だけで後払いにできるのでカード会社のブラックリストに入っている人も利用できてしまうのですが、それでも貸し倒れが発生しないようなコントロールをされているそうです。
それ以外にも、いろいろ突っ込んだ話を聞かせていただきました。

さらに、今回のカンファレンス統括の田中昌平さんをはじめ、WooCommerceつよつよの実行委員の方々ともお話をさせていただきました。
その流れで「Japanized for WooCommerce」プラグインに領収書発行と出荷メール添付機能をつけてもらえることになったので、今の案件に間に合うことを期待しています(笑)

今後、日本で WooCommerce は広まっていくかどうかはコミュニティ次第?

私はこれまで、Magento、EC-CUBE、CS-Cart を使ってECサイトを構築した経験があります。
また、WordPress のECサイト構築プラグイン「WelCart」の勉強会に参加したことがあります。
BASE、ショップサーブでの構築経験もあります。
(いずれも直請けでは無いので実績には掲載しておりません)

それらと比較してWooCommerceが持つ強みは、WordPressの基本構造をベースにしているということではないかと思っています。

他のシステムでカスタマイズを行う場合は、少なからずそれらのシステムの作法(フレームワークとかライブラリとかも含む)を学ぶ必要があります。
WelCartはWordPressのプラグインですが、独自の構造を持っているためWordPressとは別の作法があります。

もちろんWooCommerceもWordPressの作法を知らないと構築できないわけですが、CMSにおけるシェアは世界では約65%、日本においては80%以上であり、扱える制作者の数も非常に多いです。
そして、WordPressがわかっていればWooCommerceの習得のハードルは非常に低いです。
つまり、WordPressのシェアが世界の中でも非常に高い日本では、WooCommerceは最も扱いやすいECシステムだと考えられます。
私が実案件で構築した感覚としても、WooCommerceは他のECシステムと比較しても非常にとっつきやすいシステムでした。

日本語の情報が多いというだけで普及しているが、システムに不具合が多く修正に慣れを要するために一部の制作者がユーザーを囲い込んでしまっている某国産ECシステムなどと比較しても、WooCommerceのシェアが多くなるほうが日本市場にとっては良いことだと思うのです。

ではなぜ普及していないのかと言えば、やはり取り組んでいる人が少ないからではないでしょうか?
そして、なぜ取り組んでいる人が少ないかというと、日本語の情報が少ないからだと思います。
逆にWordPressに日本語の情報が多いのは、コミュニティ活動が盛んで制作者同士の情報交換が非常に盛んだからです。

今回行われた「Woo EC Fes JAPAN 2021」が、コミュニティ活動が広がるきっかけになればいいと思います。
「WordPress Meetup」「WP ZoomUP」でお見掛けする方々も多く参加されていましたので、そういった他のコミュニティとつながって広がっていけばいいなと強く感じました。

私も案件を通じて得た知見をこのブログで発信して、日本で広まるキッカケの一助になればいいなと思っています。

この記事を書いた人

川井 昌彦
川井 昌彦
FAシステムメーカー、国内最大手印刷会社製版部、印刷・ウェブ制作会社を経て、家庭の事情で実家に帰省して独立
現在はフリーランスと制作会社シニアディレクターのマルチワーク
ウェブ制作のほぼ全般を見渡せるディレクター業務が主だが、デザイン・コーディングも好き

1997年ブログ開設
WordPressコミュニティには2011年から参加
WordCamp Kansai 2016 セッションスピーカー
WordCamp Tokyo 2023 パネルディスカッションパネラー
WordBench京都、WordBench神戸、WordPress Meetup八王子など登壇多数

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