4月のWordBench京都で、サイトを作る時のあれこれを学んできました

プレミアムフライデーの翌日でゴールデンウイークの初日、世間が浮かれている4月29日(土)に、WordPressコミュニティの勉強会「WordBench京都」に参加してきました。
ゴールデンウイークの初日の勉強会なんて、いったい誰が参加するんだろうと思っていたら、なんと満員御礼で定員を増やしても満員になってしまったという、大盛況の勉強会となりました。

さいきょうのWordPressサイト構築フローとは

最初のセッションは、お隣のWordBench大阪で昨年までモデレーターをされていた、小原 千秋さんです。
WordCampでもずっと実行委員をされていて、昨年のWordCamp Kansai 2016で私がセッションスピーカーをさせていただいたときに司会をしていただいたので、登壇経験も多数おありなのかと思っていたら、なんと今日が初登壇とのことでビックリしました。

https://www.slideshare.net/ChiakiObara1/wordbench-kyoto-201704-75520666

内容は、WordPressというよりもWeb制作の際のあるある話。
実装してから追加される機能、やってから気づく仕様の漏れ、特にチームで作業していると、ディレクター・デザイナー・エンジニアの作業分担が逆に責任の押し付け合いになってしまうこともあります。

重要なのは「初動」。
実装に入る前に細部まで仕様を詰め、仕様追加を気軽に請けないことが大事なのですが・・・そうは言っても、実装に入る前に仕様を完全に詰めるのは難しいです。

そんなときに役に立つのが「ユニットテスト」のデータ。
長すぎるタイトル、内容が空の記事、多すぎるカテゴリやタグなど、あらゆるパターンのデータをインポートして、問題が無いかを確認することができます。
GitHub – jawordpressorg/theme-test-data-ja: Japanese test data for WordPress

コンテンツエリアに含まれる可能性のある、あらゆるHTMLの要素を網羅したデータというのもあります。
コンテンツエリアのマークアップで必要なHTMLの要素。コピペすると使える。 – Shinichi Nishikawa’s

私はこれまでなんとなく経験に頼って開発を行ってきたのですが、こういう便利なものを有効に使っていきたいと思います。

セッション後の質疑応答では、Web制作の闇の部分の話(笑)がいろいろ出てきて非常に盛り上がりました。
セッションをキッカケに、参加者同士の意見交換で話題が広がっていくというのも面白かったです。

クライアントさんの反応がよかったコミュニケーション手法やWPカスタマイズ例

次のセッションは、京都でフリーランスでWeb制作をされている、完山 祐毅(もとやまゆうき)さんです。
以前、D2Dで一緒にセッションさせていただいたこともあるのですが、完山さんがセッションをされる勉強会はほぼ満席になるという、集客力抜群のスピーカーさんです。

ITリテラシーの低いクライアントさんにどう対応するかという、こちらもあるある話で、もううなづくことしきり。

例えば、Webページのデザインを行った際にページ全体のスナップショットをクライアントさんに送ったら「文字が小さすぎて読めない」と言われて、よく聞いてみたら100%で見ていなかった、さらに掘り下げると100%で見る方法を知らない・・・というのが普通にあるので、ここから対応しないといけないなんて話です。
ページのデザインを見てもらう場合は画像を送って見てもらうのではなく、画像をブラウザで見られるようにして「インターネットで見てください」と言うようにすると、ほぼ間違いなく見てくれるとか、ブラウザの幅を広げたときに背景が切れないように背景画像を重ねるとか、私もやってはいるのですが、さらに一工夫されているところに感心しました。
ただ、サービスしすぎると本来不必要なことまで要求されるようになるので、やりすぎないのが重要とのこと。

管理画面については、不要なものは見せないというのがポイントです。
固定ページは、メニューの「固定ページ」を非表示にして、担当者が更新したい固定ページへのリンクをつくるという方法を使われているそうです。
また、WordPressが不得意な「トップページに入れたあいさつ文を変えられるようにしたい」とか「がっつりデザインした固定ページの一部だけを変えられるようにしたい」という要望にこたえるために「Smart Custom Fields」プラグインを愛用されているとのことでした。
(長崎のキタジマタカシさんが開発されているプラグインです)

完山さんのセッションで一番反響が大きかったのは、「マニュアル」についてのお話です。
以前は紙で頑張ってマニュアルを作っていたが、「捨てられる・読んでくれない・わかりにくい」と、苦労のわりに報われないため、最近は「動画マニュアル」を作られているそうです。
動画マニュアルはクライアントのGoogleアカウントのYouTubeに非公開でアップし、管理画面からリンクを張ると見てもらいやすいそうです。
今回のセッションでは、実際に「新規投稿の方法」の動画マニュアル作成の実演をしていただきました。
ポイントは、「機能ごとに細かく、短く」すること。
私も、いつも頑張ってマニュアルを作っているのですが、読んでもらえない・理解してもらえないということが多いので、今後は勇気をもって動画マニュアルを作ってみたいと思いました。
そう、動画マニュアルのデメリットは「恥ずかしいこと」なんですよね(笑)

余談として、愛用しているプラグインには、感謝の気持ちを込めて寄付をしましょうというお話もありました。
公式プラグインであれば公式ページの「Donate」から寄付ができるので、私も今後はきちんと気持ちを伝えたいと思います。

なお、管理画面カスタマイズについては、2016年5月のWordBench京都で私もお話しさせていただいているので、そのときの記事を合わせて読んでいただけると幸いです。
WordBench京都5月号で、管理画面についてお話ししてきました。 | Cherry Pie Web

WooCommerce使ってみようとした話

最後は、WordBench京都のモデレーターで、6月24・25日に開催される WordCamp Kyoto 2017 の実行委員長でもある、岡本秀高さんによるWooCommerceについてのセッションです。
WooCommerceは、WordPressでECサイトを作ることができる公式プラグインです。
開発者はWordPress.comを運営しているAutomatic社ですので、信頼度も非常に高いと言えます。

WooCommerceの良い点は、なんと言っても「WordPressの感覚で開発出来て、WordPressの感覚で運用できる」ということです。
WordPressのテーマやプラグインも使えますし、WooCommerceに対応したテーマもあり、カスタマイズは子テーマを作る感覚でできます。
管理画面のUIもWordPressそのものなので、WordPressに慣れているひとなら対応しやすそうです。

逆に、構造的にキャッシュが使いにくく、負荷が高くなるという問題もありますし、個人情報がWordPressに入るので、十分なセキュリティ対策が必要です。

海外製のプラグインなので、ショッピングカートの入力画面が海外仕様(姓名や住所の順序が逆など)だったりしますが、「WooCommerce For Japan」プラグインを使用すれば概ね解決するようです。

決済はPayPalもしくはStripeがデフォルトで使用できます。
Stripeは最近注目されている決済サービスで、様々なアプリケーションやサービスとの連携ができ、非常に使い勝手が良いため、実は今回岡本さんがやりたかったことは、WooCommerceを使わずに、直接StripeとWordPressを連携させて実装してしまったそうです。

WordPressには「Welcart」という日本製の有名なECサイト構築プラグインがあります。
私の感覚では、日本国内で使うことを前提とするならWelcartのほうがやりやすいかなと思いました。
ただ、どちらも一長一短あります。
ちょっと試すならWooCommerceのほうが気軽かもしれません。

いずれにせよ、ECサイトを運用するならSSLは必須
個人情報を暗号化せずに扱うようなことはやめましょうということでした。

WordBench京都恒例、今回のLT枠

WordBench京都 恒例のLT、最初は小渕周さんの「WordPressで会社ブログ・東京転勤一ヶ月」です。
小渕さんは、1月のWordBench京都で「ノンプログラミングでオリジナルの暗号通貨を発行してWordPressで配布する方法」という結構強烈なセッションをしていただいたので、とても記憶に残っています。
小渕さんは4月から東京転勤になり、WordPressで会社ブログを作ることになった話や関東圏の通勤事情の話などしていただきました。
私も長年東京におりましたので、いろいろ思い出してしまったLTでした。

続いては、後藤知宏さん。
エディター「PHP Storm」のススメのお話しです。
ATOM、Sublime Textなど流行りのエディターもいろいろありますが、

「WordPressの構築などPHPを中心とした開発ではPHP Stormが最強!」
「お金を払って優れた環境を手に入れることはとても重要である!」

という話を熱く語っていただきました。
WordPress用の補完機能も充実してきているそうで、実際、私の周りでも愛用者が多いのです。
ただ、私は毎日コードを書いたりはしないですし、AdobeCC必須なので、Brackets内蔵のDreamweaverを使い続けようかなと思っています。(プレリリースでGitにネイティブ対応しましたしね)

そして、後藤さんのLT中に、6月に京都大学で開催されるWordPressの世界的イベント「WordCamp Kyoto 2017」の参加登録が開始されました。

参加登録開始します! – WordCamp Kyoto 2017

登録開始から1週間で、すでにチケットの残数は半分を切っています。
私もすでに参加登録しています。まだ参加登録していない方は、お早めに!

懇親会はカルタで大盛り上がり

勉強会の後は、メイン(?)の懇親会です。
テーマのせいか、登壇者のせいかは不明ですが、今回はWordBench京都にしては女性比率が高かったように思います。

今回盛り上がったのは「HTML5カルタ」
HTML5のタグの説明が読み上げられ、対応するタグの書かれた札を取り合うという、非常にマニアックなカルタで、大変盛り上がりました。

HTML5カルタに続いては、Wordcamp Tokyo 2013 で制作された「WordPressカルタ」が登場。
こちらはWordPressのテンプレートタグと有名プラグインのカルタで、マニアックさもアップ。
異常な盛り上がりを見せていました(笑)

そんなわけで、GWに観光客でごった返した京都の熱気のせいか、勉強会も懇親会も、とても充実した内容でした。
・・・次回はLTやってみようかなぁ。

この記事を書いた人

川井 昌彦
川井 昌彦
FAシステムメーカー、国内最大手印刷会社製版部、印刷・ウェブ制作会社を経て、家庭の事情で実家に帰省して独立
現在はフリーランスと制作会社シニアディレクターのマルチワーク
ウェブ制作のほぼ全般を見渡せるディレクター業務が主だが、デザイン・コーディングも好き

1997年ブログ開設
WordPressコミュニティには2011年から参加
WordCamp Kansai 2016 セッションスピーカー
WordCamp Tokyo 2023 パネルディスカッションパネラー
WordBench京都、WordBench神戸、WordPress Meetup八王子など登壇多数

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