WordBash Kyoto Vol.1に参加してきました

大寒波が日本に襲来し、沖縄に雪が降るかもというとんでもない予報が出た週末、帰りの電車が止まるかもしれないなと思いながらも「懇親会から始まるイベント」というとんでもないコンセプトのイベント「WordBash Kyoto」に参加してきました。

WordBash Kyoto Vol.1

このイベント、とにかくスピーカーが豪華です。
石川栄和さん、キタジマタカシさん、Toro_Unitさん、Mignon Styleさん、森山まゆこさん、コンチさん、hide(岡本秀高)さん、深沢幸治郎さん、おおはらかずきさんと、最近のWordPress界隈を賑わせてくれている旬な方々が勢ぞろい。
それぞれの方がセッションをしてくださるだけでなく、トークセッションもたくさん予定されており、しかも最初からお酒が入っているので、いつもとは違う本音トークも期待できるとあっては楽しみしかありません。
参加者募集がスタートしてすぐに定員いっぱい。キャンセル待ちが10人以上も出る人気でした。

「懇親会から始まる」というコンセプト通り、イベントがスタートしても会場はなんとなくガヤガヤしていて、前のほうはセッション、後ろのほうはお酒やお菓子をパクつきながら雑談、スピーカーの方もウロウロしておられて話しかけやすく、緩くて適当な感じで進行していきました。
私もお菓子をパクつきながら参加しておりましたので、各セッションの内容をレポートするのではなく、全体で印象に残った内容を、ざっくり書いていきたいと思います。

実際に行われたセッションとは、順番もまとめ方もバラバラですが、ご了承ください。

公式ディレクトリにテーマを登録するメリットは?

今回のスピーカーの方々は、テーマやプラグインを公式ディレクトリに登録されている方が多く、自然とこのようなテーマでの話が多くなりました。

公式に登録するメリットとして挙げられた点で、私が「なるほどなー」と思ったのが、Mignon Styleさんのセッションで『多くの案件に共通する部分をテーマとして作成し公式ディレクトリに登録しておくと、テーマの修正が生じた際に、クライアントが管理画面からテーマを更新してくれるようになる』というものです。

WordPressはコアのアップデートの頻度が高く、テンプレートタグが非推奨になったり仕様が変わることも多いので、案件が増えると、たとえ子テーマで制作していても更新の手間は大変です。
そこで「公式ディレクトリを使う」というアイデアは素晴らしいです。
最低限の要件を満たしていれば、公式ディレクトリに登録しているからと言って不特定多数のユーザーの希望を満たす必要はないのですね。
「公式に登録するのだから、みんなが満足するようなものを作らなければならない」と思っていたのですが、そこは自由な WordPress、自分のクライアントのためだけに作ったテーマを公式に登録しても全然問題ないのです。

ただ、公式ディレクトリに登録するためには、コメント機能が必要ですし、プラグインとテーマのテリトリーの問題もあります。
普段の案件で「公式テーマに不要な機能が多い」と思われる場合は、かえって面倒かもしれません。

他のメリットとしては、『公式テーマやプラグインを作っていると、イベントに呼んでもらえるし、普通に参加していても他の人と差別化されて覚えてもらえる』というのがありました。
なるほど、これはかなり魅力です。

公式テーマやプラグインでマネタイズできるのか?

このテーマについては「WordCamp Kansai 2015」で、本日来られている石川さんがセッションをされていたのですが、やはり公式テーマやプラグインだけでは儲からないようで、活用するためのプラグインなどを有料で販売するという方法を採られています。
しかしながら、それでもそんなに大きな収入になるわけではないそうです。

それよりも、公式に登録できるだけの技術力があるということを売りにして、集客したり制作を請けるときに有利になるようにするとかってことになりそうです。

おおはらかずきさんのセッションでは、このテーマに直接触れられてはいませんが、自サイトを優秀な営業マンにするためにはどのようなことを書いておいたほうがいいのか、どのように見せればいいのかということを話していただきました。
自サイトで「公式ディレクトリに登録している」ということをアピールできれば、かなり効果がありそうです。

おおはらかずきさんのサイト
WordPressでホームページ作成|大阪・神戸|集客・収益化のお手伝い

このセッションでは、フリーランスの節税術についても話していただきました。
私も、国民健康保険は市町村のものではなく、文芸美術国保に入っています。
収入が増えても保険料が上がらないので、とても助かっています。

公式テーマ・プラグイン作者になって良かったこと・良くなかったこと

公式に登録していて人気があるというのはいいことばかりでもないようで、文句ばかり言われてモチベーションが下がることもあるそうです。
『続けてほしいなら褒めて!』という、心の叫び(笑)もありました。

また、質問は公式フォーラムでしてほしいそうです。
個人間でやりとりしても他の人の役に立ちませんし、広く使ってほしいと思って公開している場合は個人的に寄せられたものは後回しにしたり、公式フォーラムで質問してくれと誘導されることも多いとのこと。

レビューでいいコメントがあったらやる気が出るそうなので、皆さんも、自分が使っているテーマやプラグインには、いいコメントをしてあげてください。

公式テーマと公式でないテーマの違いってあるの?

一般的には、無料よりも有料のほうがちゃんとしていると思われがちですが、WordPressのテーマに関してはそうとは言えないようです。
公式ディレクトリに登録されていない有料テーマには、実装がひどいもの、安全と言えないものも多いようです。
私の知り合いで有料テーマを積極的に購入されて試されている方がおられるのですが、テーマを変えるたびにカスタムフィールドがどんどん増えてしまったり、データベースが肥大してしまったり、ちょっとひどいことになっていました。

公式でない有料テーマを買うということは、お金を払ってリスクまで負う可能性もあるわけですね。

公式テーマで有名になり信頼を得て、有料テーマを販売してマネタイズされている方もおられるそうで、最終的には「信頼できる制作者かどうかを見究める」ということになるようです。

要注目の日本発人気公式テーマ「Habakiri」と「Lightning」

実は、私が今回のイベントに参加しようと思った最も大きな理由が、「Habakiri」作者のキタジマタカシさんと、「Lightning」作者の石川栄和さんがスピーカーとして来られるという事でした。

このサイト「Cherry Pie Web」は、当初「Bones」というスターターテーマで構築を始めていたのですが、設計思想が合わないというか、やればやるほど深みにはまる感じで断念。

次に試したのが「Habakiri」でした。

Habakiri – BootstrapベースのWordPress公式ディレクトリ掲載テーマ

「Habakiri」は設計思想に共感できるところが多く、期待を持って取り組んでみたのですが、こちらはカスタマイズに要求される基礎知識のレベルが高くて挫折しました。
(あちこちのWordBashの振り返りブログで『functions.phpの記述が難しく、編集に挫折したという人がいた』というのは私の事です・・・)
実は難しいことをしなくても開発できるように考慮されているのですが、どうせなら開発者の設計思想に基づいてしっかりと制作をしたいと思った結果、挫折してしまったのです。
なお、北島さんは2015年末に「Habakiri Advent Calendar 2015」という一連のブログ記事でHabakiriについて詳しく語られており、私がこれを読んでから取り組んでいれば挫折することは無かったかもしれません。

次に試したのが「Lightning」です。

Lightning – シンプルでカスタマイズしやすいBootstrapベースのWordPress公式テーマ – | ビジネスサイトにもブログにも最適。Bootstrapベースでカスタマイズも簡単!

こちらは私が「WordCamp Kansai 2015」に参加した際、開発者の石川さんのセッションを聞いて興味を持ち、導入してみました。
以前、知り合いのサイトで石川さんの超有名テーマ「BizVektor」をカスタマイズしたことがあって、その時はカスタマイズが難しいテーマだなと思ったのですが、「Lightning」はまさにそういった点を考慮してカスタマイズしやすく作られており(というか、私の技術レベルに合っている)、プラグイン「VK ExUnit」の高機能さと相まって、あっという間にカスタマイズ出来てしまいました。

お二人のセッションを聞いて、「Bootstrapベース、子テーマによるカスタマイズを考慮した設計」と、出発点は似ているのに、それぞれのアプローチが違うのが面白いなと思いました。
個人的な感想ですが、理想を追い求めた「Habakiri」と、現実を見つめた「Lightning」という感じ。
どちらもよく考えられたテーマなので、制作者の方はダウンロードしてコードを見ると、良い勉強になると思います。

PHPを書けない人のWordPressとの付き合い方

WordPressで制作しようと思うと、どうしても必要になってくるのがPHPの知識です。
今日の参加者の方々はWordPressのためにPHPを勉強し始めた方がほとんどでした。

WordPressには便利なプラグインも多いですし、ちょっとテンプレートを書き換えるくらいなら、ネットで調べてコードをコピペするくらいで十分ではないかという意見もありました。
ただ私は、基礎的な知識が少ないうちは、近くに詳しい人を見つけるか、そういう人がいないならコミュニティに参加して知識を得ることが大事たと思っています。
ネットにある情報は本当に玉石混交で、残念ながら間違った情報も非常に多いのです。

手前味噌ですが、WordPress関連のブログにひどいものが多いことを嘆いた記事がこちらです。

「技術系のブログ記事を書く」ということについて考えた話 | Cherry Pie Web

あと、Toro_Unitさんの言われた『自分のことを、「PHPが書けない」と思ってはダメ』というのは心に刺さりました。
WordPressのテンプレートをさわれるなら、もう、PHPができない人ではないんです。
いつまでも『自分はプログラマではないから』とか、言ってたらダメなんですね。

黒い画面って覚えないとダメなのか?

WordPressの制作にあたって話題に出てくるのが、コマンドによる操作、いわゆる「黒い画面」についてです。
GUI(グラフィック・ユーザー・インタフェース)に対して、CUI(キャラクター(文字)・ユーザー・インタフェース)とも言われます。
WordPressを運用する分には必要ありませんが、制作を行う場合、特にサーバー移転、テスト環境、バックアップなどを行う際には、あったほうが便利です。

CUIのメリットとして、最も大きいのは「一連の作業を自動化できる」ことです。
GUIだと毎回同じ作業を行わなければならないのですが、CUIだとコマンドを用意しておいて流すだけです。
マニュアル化しやすいというメリットもあります。

また、『GUIはマウスでひょいってやるだけなので、うっかりミスが起こりやすい』という意見もありました。
ただ、『CUIはタイプミスで失敗しやすいので、リスクは同じ』という意見もあり、これは得手不得手とか、慣れの問題かなと言う気もします。

普段からプログラム開発などCUIでの作業がメインの場合は、WordPressの操作もCUIでできたほうが便利なのでしょうが、作業の大半がPhotoshopやIllustratorなどのGUIでの作業である場合は、GUIとCUIを両方使えるようになるための学習コストが高くつくということを考える必要はあると思います。

WordPress以外のCMSについて

最近は、どんなイベントに参加しても懇親会になると必ず出てくる話だと思います。
みなさん、特に制作経験の多い方は、WordPressがシステムとしてはあまり優れていないと考えておられる方が多いのではないでしょうか?
私はWordPess以外では、「MovableType」「MODx」「Concrete5」での実案件での制作経験があるのですが、WordPressを最初に触った時は、難しくて中途半端でイケてないシステムだなと感じました。
実は、今でもそう思っています。

「では、なぜWordPressを使うのか?」と言えば、利用者が多くて情報が多いことと、コミュニティが活発だからです。
そのメリットが、システムのデメリットをはるかに凌いでいるのです。

まぁ、この話題は話し始めるとキリがありませんし、実際、トークセッションも非常に熱いものになりました。
この熱さこそが、WordPressの魅力なのだと思います。

その他、印象に残ったこと

今回のWordBashはとにかく長丁場で、他にも印象に残ったことがいっぱいありました。

その中でも、Toro_Unitさんのセッションが、一番熱くて面白かったです。
内容は、WordPressに同梱されているプラグイン「Hello Dolly」に関する完全オフレコの内容だったのですが・・・
Disるだけのネタセッションかと思いきや、後半は「WordCamp Tokyo 2015」のコントリビューターデイで作成され、公開時に一部でかなり話題になった「Hello Kushimoto」の開発の話になり、Toro_Unitさんのプラグイン開発に対しての考えや方法論がしっかり展開された素晴らしいセッションでした。

WordCamp Tokyo 2015 のコントリビューターデイで、超すごいプラグインつくりました。#wctokyo – Toro_Unit


というわけで、かなりグダグダではありましたが、大変楽しく有意義な時間を過ごさせていただきました。
グダグダなのは、皆さん、そもそもそういうイベントだと思って参加しておられたでしょうから、全然問題なかったと思います。

おかげさまで、当日の夜は雪も降らず、無事に舞鶴まで帰り着くことができました。
翌日は西日本に大雪が降ってしまい、聞くところによるとスピーカーのキタジマタカシさんは長崎にお帰りになるのに非常に苦労されたそうです。
その他にも、他県から来られて翌日に帰られた方は大変だったと思います。
みなさん、お疲れ様でした。
またどこかでお会いしたときは、よろしくお願いいたしますね。

この記事を書いた人

川井 昌彦
川井 昌彦
FAシステムメーカー、国内最大手印刷会社製版部、印刷・ウェブ制作会社を経て、家庭の事情で実家に帰省して独立
現在はフリーランスと制作会社シニアディレクターのマルチワーク
ウェブ制作のほぼ全般を見渡せるディレクター業務が主だが、デザイン・コーディングも好き

1997年ブログ開設
WordPressコミュニティには2011年から参加
WordCamp Kansai 2016 セッションスピーカー
WordCamp Tokyo 2023 パネルディスカッションパネラー
WordBench京都、WordBench神戸、WordPress Meetup八王子など登壇多数

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