INDD 2013 Osaka (summer) に参加しました

Adobe InDesignの、現場に本当に必要な情報を、メーカーのしがらみ無しに伝えてくれるセミナーイベント「INDD 2013 Osaka」に参加してきました。

(昨年の「INDD 2012 Kyoto」についての記事はこちら→「INDD2012 Kyoto に参加しました!」

「美しい文字組みについて考える(1)」

20130717-01.png紺野さんと鷹野さんのセッション「美しい文字組みについて考える(1)」では、フレームグリッドとスタイル設定について話されていましたが、このあたりの話を聞くと、InDesignってすごく理系なソフトだなって思います。

スライドを引用していいかどうかわからなかったので、自分で図を書いてみましたが、スタイルの「基準」とスタイル間の「階層構造」は、理解しているかどうかで使い勝手に雲泥の差が出てくるんです。
セッションの中でもう少し詳しく触れていただきたかったのですが、例えば「本文」という段落スタイルを作成し、それを基準に「箇条書き」「コラム」などの派生したスタイルを作成していくと、書体の変更、行間調整、文字組みの調整などが必要になった時、「本文」スタイルを変更すれば派生スタイルが揃って変更されたりして、非常に使い勝手がいいんです。

ただ、原稿作る人もこういう意識を共有している必要がありますよね。
Webでよく言われるようになった「構造化されたテキスト」になっているかどうか。
そうでないと、せっかく作ったスタイルの階層構造に矛盾が出るような修正を入れられてしまって、かえってグチャグチャになってしまいかねません。
こういった概念を理解してディレクション出来る人がいないと難しい話なのかも。

「美しい文字組みについて考える(2)」

前回参加した「INDD 2012 Kyoto」で、そのストイックなまでの理想的な文字組みにこだわる姿に感動した、大石さんと宮地さんによるセッション「美しい文字組みについて考える(2)」は、前回の「ベタ組み」を中心とした文字組みから一歩進んで「ツメ組み」についての話をしていただけるということで注目していました。
とにかく、検証に裏付けされた現場で使える情報を提供していただけるのがありがたいです。

「連数字処理をオフ」にする理由というのは、目からウロコでした。
『伊丹十三・三船敏郎』とか『万が一、三重県で・・・』なんて部分には連数字処理が適用されちゃうんですね。しかも、正規表現を使っても区別が不可能。こればっかりは個別に見ていく以外どうしようもないです。

「全角スペースを行末吸収をしない」というのも、なるほどと思いました。
この機能を使うと文字送りが変わって気になることがあったんですが、ぶら下がり文字で処理しちゃえばいいんですね。

ツメ組みでは「段落コンポーザー」のほうが良いこともあるとか、カーニング、文字詰めについてのお話も参考になりました。
私はこれまで「文字詰め」を多用していたんですが、カーニング:メトリクスをベースにして調整のために文字詰めを使うようにしてみようかと思います。

・・・そういえば、今回のイベントは、メーカーのPRセッションを除くと3セッションで、そのうち実に2つが「美しい文字組みを考える」なんですね。

InDesignは、美しい文字組みを考えることのできるポテンシャルを持つソフトウェアです。
しかし、努力しないと美しい文字組みを作ることができないという現実があります。

なんか、本当にもったいない話です。

本当は、Adobeの中の人に大石さんのセッションのようなことを考えてほしいんですよね。
「俺たちが日本語の美しい組版を作るんだ」っていう気概が欲しいです。
別に、ボタン一発で完璧な文字組みができるようにしろといっているわけじゃないんです。
「これって、なんか変じゃない?」っていう文字組みにならないようにしてくれればいいんですよ。
せっかく美しい文字組みができる能力があるソフトなのに、クソみたいな設定でダメダメにしているという現実を早く受け止めて、早くまともな「文字組みアキ量設定」を提供していただきたいです。

「多ページ作成でのInDesignテクニック」

西村さん、あかねさん、尾花さんのセッション「多ページ作成でのInDesignテクニック」は、今回一番楽しみにしていたセッションでした。
便利そうだけど今一つ使うポイントがわからなかった機能について、実際のドキュメントを使用して説明していただいたのが大変良かったです。

「変数」「相互参照」は、いかにもInDesignらしい機能です。
機能はわかっていても、今一つ使いどころがピンとこなかったのですが、柱に使えるんですね。なるほど。
理解すると「もっと早く知っていたら楽に制作できていたのに」って思う案件がいっぱい思い浮かびます。

「箇条書き」はそこそこ使えていると思っていたのですが、リストとレベルの詳細設定が詳しくわかって理解が深まりました。

「アンカー付きオブジェクト」は、テキスト内に画像を貼りこむ(インライングラフィック)機能から大きく進化しています。
グラフィックではなくオブジェクトなのでテキストフレームもアンカー付きに出来るし、インラインじゃなくても(アンカー位置とオブジェクトが離れていても)いいんです。

この機能は、もしかしたら私のほうが使いこなしているかも知れません。
『アンカー付き位置の「ページ枠」って何に使うんだろう?』って言っておられましたが、ページ全体に図を貼りこむのに使えます。
あと、フレーム内の一部のテキストブロックをカッコで囲むとか、修正時に事故が起こりやすい部分に使うと効果があるんです。
(こちらの記事にまとめています→「こんなに使える! InDesignのアンカー付きオブジェクト」

「ブック」もInDesignならではの機能ですよね。
同期に関しては、制作前の設計がポイントかなと思います。
同期の何が怖いかというと、それによって更新された箇所が把握できなくて、おかしくなっていても見逃してしまうところです。
これなんですが、Acrobatの比較機能とバージョン管理システム(Gitとか)を併用すると、解決できるんじゃないかなと思っています。
まだ実際には試していないので、機会があったらやってみたいです。

「目次」「索引」は、使えるかどうかで本当に差が出る機能ですよね。
それこそ何日分もの作業が短縮できるし、何より間違いが減ります。
ただ、効果的に使うための手順があるみたいで、私はいつも何回かやり直したり、うまく行かなくて手直ししたりすることがあるんです。
時間が足りなくて詳しいお話が聞けなかったのが残念でした。


InDesignというソフトウェアは、現在の日本のDTPにおいて欠かすことのできないソフトウェアだと思うのですが、その割にはWeb上に情報が少ないと感じています。
また、デフォルトのままでは持っているポテンシャルをほとんど発揮することができない、扱いがちょっと難しいソフトウェアであるとも言えます。
うちの地元の制作会社のデザイナーは、ほとんどInDesignを使うことができません。
単に「複数ページが持てるイラストレーター」としてしか使えていないし、その程度の認識しかないから、使おうともしていないんです。

私見ですが、DTPを職業とされている方は、保守的な方が多いような気がします。
特に、会社の管理職やリーダー的な立場の方に意識の高い人が少ない感じがするんです。
また、自分たちのやり方を積極的に発信しようという意識も少ないですよね。
他の会社と情報を共有しようなんて考え自体がない(そういう文化がない)んだろうと思いますが、WebとDTPを兼業していると、そのあたりの差がすごく感じられて歯がゆい思いをしています。

そんな思いの中、制作作業へのモチベーションを高めてくれる「INDD 2013 Osaka」ですが、今後、関西でのイベント開催はないかもということでした。
東京とは人の数が圧倒的に違うので参加者が少なくなるのは仕方がないと思うのですが、やっぱり100人程度しか集まらないのではイベントの開催は難しいのでしょうね。
ただ、大阪では定期的に勉強会も開かれているし、京都でも勉強会の動きがあるようです。
私は田舎住まいなので、おいそれと参加できないんですが、せめてこのブログで情報発信を続けて、機会を見て勉強会などにも参加していきたいなと思っています。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です