WordCamp Kansai 2016 に完全に巻き込まれてしまった話

2016年7月9日(土)~10日(日)、大阪大学豊中キャンパスの大阪大学会館で今年も、WordPressの世界的カンファレンスである「WordCamp Kansai 2016」が行われました。

WordCamp Kansai 2016

私がWordCampに参加するのは今年で4回目。

  • 1回目はWordPressを触り始めて1か月のころ、Twitterで知り合った菱川拓郎さんに会いたくて参加した 「WordCamp KOBE 2011」
  • 2回目は少し間が空いて、WordBenchで知り合いが少し増えたので参加してみた 「WordCamp Kansai 2014」
  • 3回目は昨年、ハンズオンに参加したり、セッションスピーカーさんや有名テーマ・プラグイン作者さんとお話しできて、充実感が半端なかった 「WordCamp Kansai 2015」

しかし、今回の「WordCamp kansai 2016」は、昨年までのWordCampとはまったく違うものになりました。

ハンズオンの世話役をさせてもらうことになり、そして・・・
なんと、セッションスピーカーとして、350人も入る大阪大学講堂で登壇することになったからです。

そんなわけでこの記事では、私が図らずもWordCampに巻き込まれていった話をさせていただきたいと思います。

ちなみに、私が関わらせていただいたものは次の3つです。

熊本地震の支援サイトを30分で立ち上げ、独自ドメイン新規取得込みで即日運用開始した話

きっかけは「しいたけ占い」

私は、3年ほど前からWordBench京都などで何度か登壇させていただいています。
WordBenchはせいぜい20人程度の小さな勉強会で、スライド発表する側も勉強だという雰囲気もありますので、うまく行かなくてもいいから思い切ってやってみようというチャレンジ精神で登壇することができます。(GPLチェックなどもあるので誰でもというわけにはいかないのですが、初心者のほうが問題ないケースが多いです)

でも、WordCampは何百人もの方が来られるイベントで、メインのセッション会場は大きなホールです。
しかも、発表の様子は動画で撮影されて「wordpress.tv」というサイトで全世界に向けて公開されるんです。
ですからWordCampのセッションは、有名テーマ・プラグイン作者とか、制作会社の社長や部長レベルの人とか、コミュニティの代表者とか、そういう方がオファーされて登壇されるのだと思っていました。

そんな私が深夜にぼーっとTwitterを眺めていた4月下旬、ふと「WordCamp Kansai 2016 セッション公募」のツイートが目に留まりました。

『へぇ、セッションって公募してるんだ。「ユースケース・利用事例」か・・・これなら私のレベルでも技術的に突っ込まれたりしなくて済みそうだなぁ』なんて思ったとき、私の頭に浮かんだのは、「しいたけ占い」でした。

「しいたけ占い」は、VOGUE GIRLに掲載されている占いコーナーです。
2015年の結果が結構当たっていて気になっていたので、2016年も年始からしっかりチェックしていました。

2016年上半期、魚座を巡るキーワードは「スポットライトを浴びていく。そのための準備と計画と勇気を」

『これって、公募に応募しろってことじゃないのかな?
そういえばちょうど、熊本地震のサイトをボランティアで立ち上げたところだし、事例なんかタイムリーで良さそう。
サイトを勢いで30分くらいで立ち上げちゃったこととか、話すネタはあるかも・・・』

なんて考えて、少し眠かった私は、あまり真剣に考えないまま応募をしてしまいました。


応募して1か月以上過ぎたころ、セッション担当の方から「WordCamp Kansai 2016 公募結果のお知らせ」というメールが届きました。

かなりの応募があったと聞いていたし、これだけ時間がたっているんだから落選通知だろうなと思って読んでみたところ、

「ぜひご登壇をお願いしたいと存じます。」

との文字が!
驚いた私は、PCの画面の文字を拡大して何度もメールの文面を読み返しました。

そして、一晩寝てから「ぜひ、お受けしたいと思います。」と連絡をさせていただきました。

 

・・・ おそるべし、しいたけ占い。

 

30分で立ち上げたサイトの話を30分も語れるのか?

登壇が決まり、セッションの時間の希望を聞かれました。
WordBenchでは1時間くらい話すこともありますが、なんといっても今回は「30分でサイトを立ち上げた話」ですから、実はそんなに話すことがないのです。
そこで、本題15分、余談10分くらいで、30分の枠をいただこうと考えました。

本題は、熊本地震支援チームについての話と、サイト立ち上げの流れと運用の流れ、そして実際の支援状況をお話しすることでいい感じにできそうでした。

余談については、一つアイデアがありました。
戦国時代、舞鶴田辺城で籠城戦を行い関ヶ原の戦いでの西軍の敗北の一因となった「細川幽斎」です。
これがきっかけで細川氏は徳川家康から、肥後(今の熊本県)の大大名となりました。(ちなみに元総理の細川護熙さんは子孫にあたります)
私の住む舞鶴と被災地熊本には、深い結びつきがあったのです。

また、細川幽斎は織田信長の家臣で明智光秀と盟友であり、「本能寺の変」で光秀が討たれたのは細川氏が誘いを断ったからだと言われています。
調べていくうちにどんどん話は膨らみ、余談だけで30分話せるくらいのボリュームになりそうでした。
(なんと、セッション当日夜の「世界ふしぎ発見」は本能寺の変の特集。世界が私に味方しているなと思いました)

そしてセッション当日

当日は朝の5時に起きて犬の散歩を済ませ、8時に家を出て電車で会場に向かいました。
会場の大阪大学会館に着いたのは11時半。(住まいは京都府なのに3時間半もかかるんですよ!)
控室に入って、実行委員長のYATさんに挨拶をして、セッションスピーカー用の青いTシャツに着替えると、急に「これからセッションやるんだ・・・」という緊張感がわいてきました。

後述しますが、実はセッションの前にハンズオンの世話役もすることになっていたので、とりあえず頭を切り替えてアセンブリホールでふるまわれた美味しいパンをいただいてハンズオンに臨みました。
(パンを食べているときに、また新たなミッションが加わるのですが、それはまた後で)

ハンズオンの世話役も初めてでしたので、それなりに緊張して疲れてしまいました。
でも、1時間半後には自分のセッションをしなければなりません。
この期に及んでスライドを直し、手順を確認した後は控室でちょっとだけ休んで、セッション会場となる講堂に向かいました。

講堂では、私の前のセッションである、ファーストサーバー小島さんのセッションが行われていました。
このすぐ後に、あのステージに私が立っているというのが、何か信じられなくて、不思議な気分でした。

小島さんのセッションが終わり、15分の休憩に入りました。
ステージの前の実行委員の方にご挨拶をしてパソコンの接続チェックを行います。
担当の実行委員の方が、大学の研究で舞鶴にある施設に行ってましたと話しかけてきてくださり、少し緊張がほぐれました。
また、司会のちあきさんにもご挨拶をして、そういえばWordBench京都でお会いしましたよねとか時間ぎりぎりになったらすみませんとか、軽くお話をして開始時間を待ちました。

・・・もう逃げられません。

セッション開始時間となり、ちあきさんからご紹介をうけた後、私のセッションがスタートしました。

セッションの様子

ステージからは座席が暗くて良く見えず、仕込んだネタもウケているのかスベっているのかわからなかったのですが、とにかくスライドをこなそうと、別に作った台本を見ながら必死で発表をしました。
結果、特に大きなミスもなく、持ち時間の2分前に終わらせることができ、質疑応答の時間も作ることができました。

当日の懇親会では、全然緊張しているように見えなかったとか、戦国時代の話が出てくるとは思わなかったとか、良い感想をいただいてホッとしました。
また、セッション経験者の方々からも、温かいねぎらいの言葉をいただきました。
皆さんからのポジティブな感想は、もしかしたら私を気遣ってフォローしてくださっていたのかもしれませんが、ここはそのまま受け取っておこうと思います。

セッションを聞いたという何人かの参加者の方にも話しかけていただきました。
熊本地震支援をしておられる方や、支援したいと思っているという方からも話しかけていただきました。
私は直接支援をしたわけではなく、単にWebサイトを作っただけなのですが、それでもこのように話しかけてくださるとありがたいし、やって良かったと思いました。

そして、ここに来てようやく「セッションスピーカーをやったんだな」という実感がわいてきたのでした。

ゼロコーディングで WordPress サイト制作ハンズオン

どうしていいのか、悩みに悩んだ事前準備

先にも少し触れましたが、今回のWordCamp Kansai 2016では、ハンズオンの世話役もさせていただきました。

「ゼロコーディングで WordPress サイト制作ハンズオン」の世話役のお話をいただいたのは、まだセッションの登壇が決まる前でした。
実行委員のキタジマタカシさんからFacebookメッセージをいただき、私にも務まりそうなテーマでしたのでいい機会だと思いお請けしました。

ハンズオンチームのリーダーはシマキョウスケさん。メンバーはシマさんと私を含めて5人です。
皆さんWordBenchなどで会ったことのある方でしたので安心感もあり、この人たちについていけばいいかなーなんて、実は軽く考えていました。
ところが、5月24日のWordBench京都でそのシマさんから、『川井さんがメンバーだと心強いです!』とか言われてしまい、『あ、もしかして頼りにされているんだ』と、自分の置かれた立場を考え直さざるを得ませんでした。

6月に入り、実際にハンズオンの準備がスタートしました。
Facebookのイベントページで資料を共有し、ハングアウトで会話をしながら進めていきます。
正直、初回のハングアウトの時点では全員が『どうしたらいいの?』状態だったのですが、そこは普段からコミュニティで活躍されている人たちばかりですから、各々資料や情報を見つけてきて、どんどん発信してくれます。
私のようにフリーランスで時間を作れるような人は少なく、多くのメンバーは会社員で、遅くまで残業をしながら帰宅後に手を動かして材料を作っているのです。
そのバイタリティには舌を巻くばかり。
そして、3回目のハングアウトの時点では、ほぼ内容が出来上がっていました。
「三人寄れば文殊の知恵」と言いますが、5人集まれば無敵ですね。

今回、世話役は、1人で1テーマを担当し材料を用意して、当日は各テーマでチーム分けをして各々1人が1チームを担当することにしました。
私はハンズオンのすぐ後にセッションがあるということで、直接テーマを担当せず、メンター的な役割としていただきました。
事前準備では各メンバーの準備内容に目を通したりアドバイスを出したりといったことを行い、当日はトラブル対応やヘルプに回ることになりました。

そして、ハンズオン当日

迎えたハンズオン当日。
心配していたテーマ分けの人数の偏りも無く、進行に大きなトラブルも無く、ハンズオンを行うことができました。
各世話役の方は、本当に「先生」といった感じで堂々とハンズオンを進めておられて、改めて感心しきりでした。

私はトラブル担当として、インストールしたWordPressがデータベースエラーで動かなくなった参加者の方の環境修復を行なうことになったのですが、何とか修復出来て、実際に手を動かしてサイトを作るところまで進んでいただくことができました。

ハンズオンの最後、参加者の方々は内容にかなり満足されていたようですし、何より、世話役のみんなの顔に大きな充実感と達成感を感じることができました。
世話役自体が「楽しかった」と思えたということは、ハンズオンは大成功と言っていいのではないかと思います。

デザイン初心者向けワークショップ 〜ブログデザインを実際に作ってみよう〜

突然の依頼と「しいたけ占い」

少し話を戻します。

初日、その日の初めてのセッションスピーカーと初めてのハンズオンで頭がいっぱいになりながら、昼食をとるためにアセンブリホールに行ったとき、実行委員で有名テーマ「Chocolat」作者のMignon Styleさんから突然、『明日、お時間ありますか?』と尋ねられました。

『実は、デザインのハンズオンで世話役が足りないので、川井さんにも世話役をお願いできないかと思って・・・』

いやいや、今は初めてのハンズオンとセッションスピーカーで頭がいっぱいなのに、そんなのできるわけないでしょう・・・って、普通なら返事をしていたと思うのですが、その時私は、二つ返事で新たなハンズオンの世話役をお請けしていました。
チャーミングなMignon Styleさんからお願いされたから・・・というわけではありません。(なくもないかな(笑))
そのハンズオンの内容は私がいきなり世話役をしても十分対応できるとMignon Styleさんから言われたこと、リーダーがチミヲさんであること(チミヲさんとは、WordBench神戸でデザイン系の話で一緒に登壇したことがあります)というのが大きかったですが、最も私の背中を押したのは、昨日読んだ「しいたけ占い 2016年下半期 魚座」の内容でした。

そこには、「魚座のフリースタイル」という項目がありました。

あなたは「前もって、事前に資料を完璧にそろえる」ではなく、「現場にとりあえず行ってみて何とかする」というやり方のほうを好みます。
「とりあえず楽しみだから行ってみる。あとはその場所で用意していく」という考え方の持ち主なのです。

予定していたセッションとハンズオンは、当然ながらしっかり準備をして臨んでいます。それはそれで正式に請けたことへの責任です。
ところが今は、いきなり内容自体今初めて聞いたハンズオンの世話役をしろと言われているわけです。
これは「しいたけ占い」にあるフリースタイルそのもの、請けないわけにはいかない! 私はそう直感したのです。

初めてのメンバーと、いざハンズオンへ

私の担当ハンズオンとセッションの間の時間に、チミヲさんから簡単にハンズオンの内容を伺いました。
ハンズオンの内容は「デザインの基礎」。
WordPressのテーマデザインの話まではするけれど、実際にはパソコンを触るところまで行かないかも・・・とのことでした。

とりあえずスライドを共有してもらい、初日の大仕事と親睦会をこなしたあと、ホテルに戻ってお風呂に入ってから目を通しました。
デザインハンズオン用のスライドだけあって、とにかく見やすくわかりやすく美しいスライドで、それだけで「このハンズオンは面白そうだな」と感じられました。

ただそれと同時に、私のような”なんちゃってデザイナー”が、しかも飛び入りで、場を壊さなきゃいいけど・・・と不安にもなりました。
でも、しいたけ占いが私を後押ししています。なんとかなる。そう言い聞かせてハンズオンに参加しました。

昨日のハンズオンとは違い、今回のハンズオン世話役のメンバーはほとんどが初対面でした。
皆さん、ちゃんとした本職デザイナーです。
その時に気づかなくて後で後悔したのですが、結構すごいメンバーでした。
ますます焦ってきましたが顔には出さず、進行の確認をして本番に臨みました。

ハンズオンでは予想通り、紙に手書きで書いたり消したりで精一杯。
何枚も紙を使って、文字や図形を書いたり消したりしながらデザインをするのですが、「デザインとは見た目のことだけじゃない。その前に設計なんだ」ということを忘れず、表面的なアドバイスにならないよう心掛けました。

『私は、デザインに3日かけていいと言われたら、2日は椅子に座って腕組みしていますよ』
『WordPressで実現できるかどうかは、今日は考えなくていいです。WordPressなんだから、きっと世界の誰かができるようにしてくれます』

なんてことを話していると、肩の荷が下りたように自由なデザインをしてくれる参加者の方もいらっしゃって、時間がたつほどに参加者の方々が生き生きしてくるのが感じられ、とても楽しいハンズオンでした。

そして、私のような観念的なデザイン論ではなく、きちんとデザインのアドバイスをされていた他の世話役の方々は、やっぱりさすがでした。
本当に、いい勉強になりました。

for the future

そんなこんなで、想像以上に忙しい2日間は、あっという間に過ぎてしまいました。

今回私は、一般参加ではなく、実行委員でも当日スタッフでもなく、”スピーカー”という微妙に「美味しいとこ取り」の立場で関わらせていただきました。

お目当てのセッションに参加できなかったり、LT大会が見れなかったりといったこともありましたが、それを遥かに超える充実感を得ることができました。
それと同時に、スピーカーを支えて準備したり気を遣ってくださる実行委員の方々の大変さと生き生きした感じを裏側から感じることができ、大きなパワーをいただきました。

実行委員長のYATさんをはじめ実行委員の皆さんと当日スタッフの皆さん。
スピーカー・世話役の皆さん。
スポンサーの皆さん。
そして参加者の皆さん。特に、私のセッション・ハンズオンに参加していただいた皆さん。
本当にありがとうございました。


思えば、昨年の「WordCamp Kansai 2015」のテーマは、“Get Involved” でした。
実行委員長のカイトさんは閉会の時に、これは「巻き込まれよう」という意味だと言っておられました。
それから1年、私は完全にWordCampに「巻き込まれて」しまいました。

今年の「WordCamp Kansai 2016」のテーマは、“for the future”
未来の私はどこに向かっているんでしょうか?

楽しみでたまりません。

この記事を書いた人

川井 昌彦
川井 昌彦
FAシステムメーカー、国内最大手印刷会社製版部、印刷・ウェブ制作会社を経て、家庭の事情で実家に帰省して独立
現在はフリーランスと制作会社シニアディレクターのマルチワーク
ウェブ制作のほぼ全般を見渡せるディレクター業務が主だが、デザイン・コーディングも好き

1997年ブログ開設
WordPressコミュニティには2011年から参加
WordCamp Kansai 2016 セッションスピーカー
WordCamp Tokyo 2023 パネルディスカッションパネラー
WordBench京都、WordBench神戸、WordPress Meetup八王子など登壇多数

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